「本物の美には、人の心を潤し、喜びを生み出す力があります。」

 

作品の価値を下げないために

私が宝石を使用するようになったのは、30代の頃。

寺山修司さん作・演出の『毛皮のマリー』や、江戸川乱歩さん原作で三島由紀夫さんが戯曲化した『黒蜥蜴』などの舞台に出演するようになってからです。

『黒蜥蜴』で私が演じたヒロインは、宝石など《美しいもの》を狙う女賊。それなのにガラスのアクセサリーをつけて舞台に立ったら、せっかくのすばらしい作品の価値が下がってしまうのではないか。そんな気がして、使用し始めたのです。