噴出する不満

同様の問題は、定年後再雇用の社員でも起こりうる。いや、もっと深刻になる。

給料が大幅にダウンし、そのうえ派遣社員やパートがやっているような単純作業をしなければならないことに不満を募らせ、「これまでは頭を使う仕事をバリバリやっていたのに、こんな誰でもできるような仕事なんか、やってられるか」と愚痴をこぼす。

もっとも、派遣社員やパートと比べると、大幅にダウンしたとはいえ定年後再雇用の社員のほうが給料は高い。しかも、1日にこなせる仕事量も、派遣社員やパートのほうが多いこともある。そのため、派遣社員やパートから定年後再雇用の社員に対する不満が噴出することも少なくない。

「私たちより給料が高いくせに、仕事はしていない。しかも、やる気もなさそう。定年後再雇用の制度を使って会社に残ったのなら、それを受け入れて与えられた仕事をすべきじゃないですか。嫌なら、辞めて再就職先を探せばいいのに」

という厳しい指摘をしたパートの女性さえいる。

派遣社員やパートから定年後再雇用の社員に対する不満が噴出(写真提供:Photo AC)

彼女の主張は正論だとは思うが、その通りにするのはかなり難しい。

そもそも、60歳を超えた方が再就職しようとすると、厳しい現実に直面する。たとえ再就職先が見つかったとしても、収入の大幅減は避けられそうにない。だから、結局これまで長年勤めた会社に再雇用という形で残るしかない。そういう方がほとんどだろう。