人生のターニングポイントを丁寧に描いている

この凧は五島の伝統。子供が生まれると、健やかに育つことを願って、親族が作る。ところが、祥子の凧は2枚とも未完成。舞の兄・悠人(横山裕)の分は絵を入れている途中で、舞のほうは骨組みだけだった。

「悠人と舞が生まれたと聞いた時に、じいちゃんの代わりに作ろうとしてさ、途中になっとった」(祥子)

めぐみとの関係が修復されないと、凧を作り上げても渡せない。それでも孫の誕生がうれしく、作ろうとしたのだ。

舞の小4から高校卒業までの歩みは省略された。1994年から2004年に飛び、そのときの舞(福原遥)は浪速大学で航空工学を学ぶ1年生になっていた。半年間続く朝ドラとはいえ、ヒロインの人生の全ては描ききれないから、やむを得ない。

その分、舞の人生のターニングポイントを丁寧に描いている。療養先の五島でばらもん凧と出会わなかったら空に憧れなかったし、大学で人力飛行機サークル「なにわバードマン」に入らなかったら、航空学校入りもない。人には転機がある。それを重点的に追い掛けている。