ついに最終回を迎えた「鎌倉殿の13人」。その冒頭でも登場した「吾妻鏡」と徳川家康の深い関係とは。静岡駅前の徳川家康像(写真提供:写真AC)

小栗旬さん演じる北条義時、大泉洋さん演じる源頼朝ら、権力の座を巡る武士たちの駆け引きが三谷幸喜さんの脚本で巧みに描かれるNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(総合、日曜午後8時ほか)。12月18日の最終回では、義時追討の宣旨を出し、兵を挙げた後鳥羽上皇(尾上松也さん)。これに対して政子(小池栄子さん)の言葉で奮起し、徹底抗戦を選んだ幕府は、大江広元(栗原英雄さん)や三善康信(小林隆さん)の忠言を聞き入れて速やかに京へ派兵することを決断……といった話が展開しました。

一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるあのシーンをプレイバック、解説するのが本連載。第19回は「吾妻鏡」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

今更ながら『吾妻鏡』とは

NHKのサイトによれば、三谷幸喜さんは『鎌倉殿の13人』の脚本を書くに際して「『吾妻鏡』を原作のつもりで書いている」と仰っています。

今更かもしれませんが、『吾妻鏡』というのは鎌倉幕府が編纂した、幕府認定の歴史書です。ですので史料的な価値は『平家物語』『源平盛衰記』などの軍記物語よりも上、とされています。

ただし。

幕府のお墨付き、イコール、北条氏をリーダーとする幕府のお墨付き。となれば北条氏に都合の悪いことは書きたくない、という性向に繋がってくるわけです。その意味で、記事を頭から信用するわけにはいかない、ということにもなる。

けれど『吾妻鏡』ぬきに鎌倉幕府のことを研究できるのか、というと、それは到底ムリなわけで。『吾妻鏡』がありがたい史料であることは間違いがありません。