タオルを両手で引っぱりながら30歩歩くのが、毎朝の体操だ(撮影:本社・奥西義和)

 

9月に100歳の誕生日を迎えた鮫島純子さん。本誌(2021年7月13日号)で祖父・渋沢栄一さんの思い出を語った98歳の頃と、身のこなしや話しぶりは変わらない。そう伝えると、「いえいえ」とやわらかく微笑む。

「やはり100歳を超えますと、耳は遠く、目は見えづらくなりました。味覚や嗅覚にも衰えを感じます。100歳おめでとうと言っていただくので、年齢を意識しすぎたのかもしれませんけれど」

23年前に夫を見送り、ひとり暮らし。家事の一切を自分で行う。質素倹約を旨とする渋沢の家で母の背中を見て育ち、編み物や裁縫も自然と身についた。

「昨日までできていたことは今日もできるはず。そう思って暮らしております」

健康の秘訣は毎朝1時間の散歩。自宅近くの明治神宮に参拝後、体操をし、杜を歩く。50年前、散歩中に出会った台湾出身の女性漢方医・荘淑(そうしゅく)きさんから、腰を立て背筋を伸ばし緑の中を歩くことが健康の基本と教わり、できる限り続けている。背筋はいまもまっすぐだ。