力を付ける機会が与えられてこなかった女性を、いきなり管理職や役員に登用する前に必要なこと(提供:photoAC)

3つの「き」で女性人材の育成を

私はいつも、女性人材を育てるには「期待する」「機会を与える」「鍛える」の3つの「き」が必要だと言っています。

若いうちから「あなたはしっかりやれる人だよね、期待しているよ、大変でも頑張って」という期待の「き」をかけて、経験や知識を積む機会の「き」を与えます。力がついていないのに機会だけ与えてもうまくいきません。3つの「き」の最後には「鍛える」の「き」がきます。

男性でも、本当に難しい仕事などを経験して一皮も二皮もむけた人と、そうでない人では大きな差が出ます。期待されて、力を付ける機会があって、鍛えられて、失敗をしてまた鍛えられる。そうしたプロセスを経験することが大事なのです。

多くの男性であれば当たり前に経験することも、男性上司のアンコンシャス・バイアスが女性に手加減を加えるため、女性は困難だけれど成長につながる仕事をなかなか経験させてもらえません。

それなのに女性だからといっていきなり「女性ならではのアイデア」を求められても、素晴らしい発想が出てくるはずがないのです。企業には、女性の役員登用率を考える前に、採用の段階から女性に3つの「き」を与えてほしいと思います。