女性の管理職が少ないのは企業側の問題も

女性の昇進に関しては、女性側だけの問題とも言い切れません。企業の評価基準や教育訓練体制にも問題があります。女性には管理職向けの経験を積ませない、研修などの教育を受けさせない、といったことも以前は当たり前でした。

しかし、現在では政府が女性の役員や管理職を増やすよう企業に働きかけており、盛んに女性役員の登用を推進しています。「女性取締役の比率は何%をめざす」といった数値もよく目にするようになりました。

『思い込みにとらわれない生き方』(著:坂東 眞理子/ポプラ社)

確かにそういった取り組みが進んではいますが、しっかりとした経験や教育を受けさせないまま、比率を上げるために女性を登用して、仕事がうまくできないと「やはり女性にこういったポストは難しい」という判断をされてしまうケースもあります。

「責任のある仕事を女性に担当させるのはかわいそう」「女性には、難しいクライアントを担当させられない」といった、企業が持つアンコンシャス・バイアスのもと、知識や経験、力を付ける機会が与えられてこなかった女性を、いきなり管理職や役員に登用するからこうした悲劇が起こるのです。

いわば女性のアンコンシャス・バイアスと、企業のアンコンシャス・バイアスの2つが重なった状態です。

結果、日本では、就業者は多くても、管理職に就いている女性は少ないのです。