坂東眞理子「私は責任のあるポストに就くことには、デメリットよりもメリットの方が多いと実感しています」(提供:photoAC)
無意識の思いこみや偏見を意味する“アンコンシャス・バイアス”。「それぞれが持つアンコンシャス・バイアスが直接的に作用しなくとも、社会や周囲のそれが影響し、知らないうちに誰かのやる気や可能性を抑えかねない」と、昭和女子大学理事長・総長の坂東眞理子さんは指摘します。特に女性の社会進出が遅れていると言われる日本で、障壁となっているアンコンシャス・バイアスとは――。

男性たちは知っている管理職のメリット

会社という組織の中では、アンコンシャス・バイアスがたくさん存在します。一番よくあるのが、「肩書きのあるポスト、いわゆる管理職に女性が昇進すること」に対する偏見です。

日本では管理職に占める女性の割合が約9%と先進国やアジアの国々と比べて低くなっています。その背景には「女性が責任あるポストに就くと家庭と両立できない」「ワーク・ライフ・バランスが取りづらく、私生活が犠牲になる」「上司と部下に挟まれてつらい」というようなマイナスのアンコンシャス・バイアスが、世間で浸透しているということがあります。

しかし実際は、上のポストに就くことで、時間や予算について自分の裁量がきくようになりますし、さまざまな有益な情報も入ってきやすくなります。

例えば、会議を短く切り上げて残業をへらす、自分の不得意なことは部下にしてもらう、というように、自分が働きやすいようなマネジメントも可能です。

私は責任のあるポストに就くことには、デメリットよりもメリットの方が多いと実感しています。それがわかっているので、男性たちはそうしたポストに就きたがるのです。