妖刀「千子村正」が家康の祖父も父も殺めた?(写真提供:イラストAC)

松本潤さん演じる徳川家康がいかに戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのかを古沢良太さんの脚本で巧みに描くNHK大河ドラマ『どうする家康』(総合、日曜午後8時ほか)。第1話では今川義元(野村萬斎さん)の下で、人質生活を送っていた松平元康(後の家康)が瀬名(有村架純さん)と結婚。幸せな日々が続くと信じていたある日、織田信長(岡田准一さん)との「桶狭間の戦い」が勃発。元康は重要なミッションを任され……といった話が展開しました。

一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるあのシーンをプレイバック、解説するのが本連載。第20回は「妖刀村正」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

徳川家に仇なす妖刀「千子村正」

「刀剣女子」という言葉をご存じでしょうか。

日本の武器であり美術品である刀剣を擬人化(しかもイケメンに)し、それをもとにした物語(『刀剣乱舞』シリーズ)を楽しむ若い女性たちを指します。

若い女性と刀剣、というと何だかミスマッチな感じがしますが、彼女たちのおかげで、それまで一般に知られていなかった日本刀の名がいっぺんに世に広まりました。

その刀剣女子に聞けば、「知ってて当たり前」といわれるに間違いない名刀に「千子村正」があります。

この刀、実用に適していて、ともかく斬れる!戦国時代の武士の間では評判の刀でした。

大人気大河ドラマ『真田丸』の主人公、真田信繁(幸村)がわざわざ探し求めて、自身の愛刀として用いた、というエピソードもあります。というのは、この刀には、徳川家に仇なす妖刀、というホラーじみた伝説があったからなんです。