夢こそが進むべき道を照らし出す

そんな時代に夢や野心、冒険心を持つことは難しいのかもしれません。夢を追いかけることは、ただ単にリスキーなことなのかもしれません。

それでも、俺は言いたい。

「夢を持てない」なんて簡単に言うな。

夢を見つけて、それを追いかけてみろ。

一人一人が夢を持ち、それを追いかける。それだけが、頭上の空を覆う「閉塞感」という雲を追い払う、唯一の方法なんだ――。

『ゴールをぶっ壊せ』(著:影山ヒロノブ/中央公論新社)

俺には、何をやってもうまくいかない時代がありました。音楽での収入はほとんどなく、ノーギャラでライブをしていた、青春ロードムービーのような日々。その後にやってくるアニソンとの出会いなど、みじんも見えなかった時代。

どうひいき目に見ても、「夢も希望もない」という言葉がぴったりです。しかし、他人から見ればドン底に感じるような日々だろうと、心の中から夢がなくなることはありませんでした。

俺はずっと夢を持ち続けていた。夢を叶えようと、強く強く自分に念じていた。その夢とは、「歌い続けたい」という、極めてシンプルなものでした。

ミュージシャンを目指して上京した時には、「ビッグになりたい」「金持ちになりたい」「モテたい」などと、色々な夢を持っていたと思います。しかし、そういった枝葉のようなものを取り払い、それでも俺が捨てられなかった、たった一つの夢が「歌い続けたい」でした。

この夢が、人生の灯台となり、羅針盤となってくれた。夢を叶えるために、今この瞬間にやるべきこと。夢が俺に、それを照らし、指し示してくれました。