手前は「羊とじゃがいものミルフィーユ」。千切りにしたじゃがいもで作ったガレットと羊ロース肉のスライスを重ね焼きした一品。魚料理の場合は、羊が鰆や鯛になる。奥は「フジッリの家庭風」と「鰯とウイキョウのスパゲッティ からすみをかけて」の2種盛りパスタ

心に沁み入るイタリアの味

イタリア料理界のレジェンド、山田宏巳シェフ。数々の話題店を手がけてきたカリスマシェフが、2020年、68歳にして始めた新境地が赤坂「インフィニート ヒロ」だ。ベテランシェフらしい気負わぬおいしさで評判の同店が、オープン2年にしてランチを開始。

それもパスタランチ1500円からと、こなれた価格設定も嬉しい限りだ。「ランチをやってほしいという要望は前々からあったんです。で、若いスタッフが育ってきたこともあり、始めることにしました」と山田シェフ。

サッとランチを終わらせたい近隣のビジネスマンには、ボリューム満点の2種盛りパスタランチが好評だが、ゆっくり食事を楽しむならコースがいい。

写真は5500円コースの一例で、日替わりのパスタ2種と魚か肉の好みを選べる主菜。これに自家製ハムと旬野菜の定番前菜、デザートがつく充実の内容となっている。野菜とベーコンをクタクタに煮込んだソースで和えたフジッリなどいずれの皿も一見素朴。高級素材に頼ることなく、心に沁み入るおいしさを引き出す手腕はさすがだろう。

【テイクアウト】山田シェフ自慢の自家製ロースハムは、豚腿肉を塩漬けにすること約2週間。その後ボイルするなど1ヵ月近くかけて仕上げる力作。テイクアウト用のサンドイッチは、そのロースハムをこれでもか、というほど挟んだリッチな逸品。「1個に80~100gは使っている」とは山田シェフ。パンももちろん自家製のフォカッチャ。1個800円