「必ず離婚するから」

たとえば、20代の保育士の女性Hさんは、勤務先の保育所で預かっている子どもの父親と不倫関係になった。

『自己正当化という病』(著:片田珠美/祥伝社新書)

やがて妊娠が判明し、出産を希望したところ、

「実はまだ妻との離婚が成立していなくて……。今、お前の妊娠がわかると、莫大な不倫の慰謝料を請求されるだろう。そうなれば、お前が産んでも、育てるのは無理だから、堕(お)ろしてくれ。必ず離婚するから」

と言われた。

Hさんとしては、どうしても産みたかったようだが、「必ず離婚するから」という言葉を信じて泣く泣く中絶手術を受けた。