ところが、約15年前のこと。母との離婚後、一人暮らしをしていた父親が倒れて要介護の身に。ツグミさんは父親を自宅に引き取り、家事・育児・仕事・介護に奔走した。

心身ともに疲弊し始めたある日、母親から1通のメールが届く。「ずっと友達だった中学時代の同級生と再婚します。今度家族旅行をしましょうね(笑)」。

娘が父親を引き取って世話しているのを知っているのに……。

「再婚は祝福したいですよ。でも、父への気遣いもなく、介護で外出もままならない娘に送る文面ではないでしょう? 完全に神経を逆撫でされました。この母親はいらない! と、はっきり思わせてくれた」

それからというもの、母からのメールや電話は一切無視。「なんで返事をくれないの? 私がいったい何をしたっていうの!?」といった怒りのメールが何度も届いたが、無反応を決め込んだ。

すると、母親はツグミさんの娘へ連絡。祖母と母との冷えた関係を熟知している娘は、「ママはすごく忙しいの。必要があれば、私に連絡して」ときっぱり言ってくれたそうだ。それからというもの、母親から直接の音沙汰はない。

ともあれ、母親との交流断絶後は、親戚付き合いも一掃した。お世話になったと実感が持てる人以外の冠婚葬祭は、すべて欠席。お歳暮やお中元も贈らない。

「なんだかんだで、年間5万円は浮いたのではないでしょうか? いや、お金なんてどうでもいい。積年の母への憎しみというか悲しさというか……。そのすべてを拭えたのが、母を捨てたことによる大きな恩恵です」

 


《ルポ》やめる、捨てるで、人生が好転した
【1】趣味のバイクを手放して
【2】母と絶縁したら出費が減った
【3】親の衰えとお金の心配がなくなった