伝説の校長講話 ノートとのつきあい

高校3年生まで続く校長講話がいよいよ始まります。計30時間、6年間かけて話をするのですが、最初は全部わからなくてもいいですよ。へえ、そんなふうな考え方もあるんだと思って聴いてくれればいいのです。

校長講話の目的は二つあります。一つは、一人一人の自分というものは、「代わり」がいない大変貴重な存在だと知ってもらうことです。地球上には80億もの人間がいますが、自分がいなくなったら自分に代わる人は一人もいないんです。

それは最新の生命科学で説明されています。全員が異なるDNAという遺伝子を持っていて、全く同じ人、クローン人間というのは自然の中では生まれません。君たちは約37兆の細胞がくっついてできた多細胞生物で、一つ一つの細胞に同じDNAが入っています。これは生命活動の設計図で、80億人いると80億通りある。だから君たち一人一人には、かけがえのない価値がある。それを分かってもらいたいのです。

もう一つは、それぞれ違う人たちが人類社会をつくり、社会の一員でなければならないということです。社会をつくらなければ人間は生きていけないのですが、全然違う人たちが集まってつくるのは、難しいですよね。それを理解してもらうために校長講話をしています。

この学校の教育目標は「自調自考」ですね。自分で調べ、自分で考えて好きなことを見つけて学ぶのは、力を発揮できる良いやり方です。それと同時に、自分のしたいことを一生懸命勉強し、結果として人のため、みんなのためになるようにと、考える人になってほしいのです。それでは、早速話の内容に移っていきましょう。