阿川 何か野望はないの?
平野 ないね、野望なんて恐ろしい。ただ和田さんに会いたいだけ。
清水 ちょっと泣かせないでよ。鼎談が終わっちゃうじゃない。
阿川 ほんとに愛が深いねぇ。
清水 私も結局は好きなことだけをしてここまで来たし、阿川さんだけだよ、「イヤなこと続けてきた」なんて言うのは。本当は好きなんでしょう?
阿川 今でも原稿は、書き始めるまでがツラい。でも書き終えると、「あぁ、今日も頑張った」って満足感はある。対談も、会うまではすごく緊張するけど、お話を聞いていると「この人に会えて本当に私は幸せ」と思う。
平野 ねえねえ、イヤな人だなぁと思った人もいる?
阿川 あまり好印象を持っていなかった人でも、2時間対談すると、「さすがだなぁ」と思う点がいっぱい出てくるのよね。でもたま~に、「そうか、イヤな人というのはこう築きあげられていくのか」と思うことも……。
清水 あははは、名言!
平野 佐和子ちゃんは、人の人生を聞き出す名人だからいろんな人の生き方をたくさん学べちゃうでしょ。すごいね。
阿川 でも、内容を全部忘れちゃうの。そういえば和田さんが友人たちと会って帰ってきたとき、レミちゃんが「楽しかった? 誰の話が面白かった?」って聞いたら、「何も覚えていないけど、すっごく楽しかった」って答えたって。
平野 そうそうそう。
阿川 何も覚えていないけれど楽しかったっていう人生、いいなぁと思う。
清水 わかるー!
<後編につづく>
ヘアメイク:
田中舞子(阿川さん)
スタイリング:
中村抽里(阿川さん)
阿川さん衣装:ワンピース/クチーナ(ルッカ)、アクセサリー/ラ・キアーヴェ(ドレスアンレーヴ)
出典=『婦人公論』2023年2月号
阿川佐和子
エッセイスト、作家
1953年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部西洋史学科卒。エッセイスト、作家。99年、檀ふみとの往復エッセイ『ああ言えばこう食う』で講談社エッセイ賞、2000年、『ウメ子』で坪田譲治文学賞、08年、『婚約のあとで』で島清恋愛文学賞を受賞。12年、『聞く力――心をひらく35のヒント』が年間ベストセラー第1位、ミリオンセラーとなった。14年、菊池寛賞を受賞。『老人初心者の覚悟』『ないものねだるな』『母の味、だいたい伝授』ほか著書多数
この連載の書籍化第4弾『老人初心者の青春』が好評発売中
清水ミチコ
タレント
1960年岐阜県生まれ。モノマネをはじめとするお笑いにとどまらず、女優、司会、エッセイ執筆など幅広く活動。『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』(テレビ東京系)、『ラジオビバリー昼ズ』(ニッポン放送)にレギュラー出演。YouTube「清水ミチコのシミチコチャンネル」で撮り下ろしネタを公開。著書に『カニカマ人生論』『まるい三角関係~三者三様おしゃべり三昧』などがある。全国ツアー「清水ミチコ万博~ひとりPARADE~」開催中。詳しくは公式サイト4325.netをチェック!
平野レミ
料理愛好家・シャンソン歌手
東京都生まれ。イラストレーターの和田誠氏と結婚後、主婦として家庭料理を作り続けた経験を活かし、テレビ、雑誌などを通じて数々のアイデア料理を発信。また、フライパンやエプロンなどのキッチングッズの開発も行なう。エッセイに『私のまんまで生きてきた。』『おいしい子育て』『旅の絵日記』(和田誠氏との共著)など、レシピ本に『平野レミのオールスターレシピ』『平野レミの自炊ごはん』など多数。