阿川 何か野望はないの?

平野 ないね、野望なんて恐ろしい。ただ和田さんに会いたいだけ。

清水 ちょっと泣かせないでよ。鼎談が終わっちゃうじゃない。

阿川 ほんとに愛が深いねぇ。

清水 私も結局は好きなことだけをしてここまで来たし、阿川さんだけだよ、「イヤなこと続けてきた」なんて言うのは。本当は好きなんでしょう?

阿川 今でも原稿は、書き始めるまでがツラい。でも書き終えると、「あぁ、今日も頑張った」って満足感はある。対談も、会うまではすごく緊張するけど、お話を聞いていると「この人に会えて本当に私は幸せ」と思う。

平野 ねえねえ、イヤな人だなぁと思った人もいる?

阿川 あまり好印象を持っていなかった人でも、2時間対談すると、「さすがだなぁ」と思う点がいっぱい出てくるのよね。でもたま~に、「そうか、イヤな人というのはこう築きあげられていくのか」と思うことも……。

清水 あははは、名言!

平野 佐和子ちゃんは、人の人生を聞き出す名人だからいろんな人の生き方をたくさん学べちゃうでしょ。すごいね。

阿川 でも、内容を全部忘れちゃうの。そういえば和田さんが友人たちと会って帰ってきたとき、レミちゃんが「楽しかった? 誰の話が面白かった?」って聞いたら、「何も覚えていないけど、すっごく楽しかった」って答えたって。

平野 そうそうそう。

阿川 何も覚えていないけれど楽しかったっていう人生、いいなぁと思う。

清水 わかるー!

<後編につづく