(写真提供◎南登美子さん)
いにしえから続く「日本髪」の伝統を継承している女性がいます。京都にある老舗美容室の3代目・南登美子さん、94歳。神事の髪型や衣装なども手がける髪結いの仕事についてうかがいました(構成=今津朋子 撮影=福森クニヒロ)

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葵祭、伊勢神宮式年遷宮で結髪衣装を担当

登美子さんは京都の三大祭の中の葵祭と時代祭に貢献してきた。5月の葵祭では、「斎王代御禊の儀」で斎王代が御手洗池に手を入れて禊を行うが、髪を結い、装束を着付ける指揮をとってきた。そして平安神宮の大祭である時代祭では、平安時代から明治維新までの衣装風俗が市内を行列するが、登美子さんは江戸時代の婦人列などを担当している。

2017年、京都の葵祭にて。斎王代の結髪、衣装などを担当した南さん(左手前)

また、長年にわたり、伊勢神宮の祭主の結髪と着付けも拝命している。

「伊勢神宮の祭主である池田厚子さん(今上陛下の伯母)の結髪をさせていただいた母から引き継ぐ形で、私も務めさせていただきました。平成25年10月の伊勢神宮式年遷宮で、祭主になられた黒田清子さん(今上陛下の妹)の結髪と御装束も担当させていただきました」

唯一の有職美容師として、陰に陽に日本の伝統を守ってきたのだ。

伊勢神宮の式年遷宮などの神事にもかかわってきた。時代風俗の研究や知識も欠かせない