1)罫線のみのシンプルな便箋は使い勝手がよく、つねに何種類か取り揃えている/2)原稿用紙のような便箋と封筒のセットは、編集者へのちょっとした連絡に/3)ガラスペンは短い手紙向き。その都度インクの色を変えられるので、幅広いシーンで使えるそう/4)長年使い込んだ愛用の万年筆とインク

私が主に使っているのは万年筆です。万年筆はほったらかしにしているとインクがうまく出なくなるので、あれこれと何本も使わずに、お気に入りの1本を長く使うようにしています。

便箋の紙の質によっては文字がにじんでしまう場合もあり、そんなときはボールペンを活用。ちょっとしたメッセージや一筆箋に数行のお手紙を書くときは、ガラスペンを使うこともあります。

万年筆もガラスペンも、文章の内容によってインクの色を変えることも。主に使っているのはブルーブラックですが、ときたま紫色のインクを使ってみたり。お悔やみの手紙を書くときは真っ黒な文字ではなく、薄墨で書くとか。そんな日本古来のしきたりを知ることも、手紙という文化を楽しむひとつの醍醐味だと言えるでしょう。

また、書くときの心構えも大事です。自分の気持ちがざわざわしているときや、やるべきことが山積みで心が穏やかではないときに手紙を書くのはなかなか難しい。

そんなときは、気持ちを整理するために部屋の中を片づけて、整った環境で書くとスムーズに綴れるもの。手紙は相手に向けて書くものですが、同時に、自分自身を見つめる作業です。

私も「ここ一番!」と、仕事の場面で勝負をかける手紙を書くときは、背筋をシャンと伸ばして気合を入れてから机に向かうようにしています。