「考えても答えは出ません。それでも考え続けます」と話すのは、東京大学の名誉教授で解剖学者、『バカの壁』などのベストセラーを持つ85歳の養老孟司さんだ。養老先生は子供の頃から「考えること」について意識的で、一つのことについてずっと考える癖があったことで、次第に物事を考え理解する力を身につけてきたそうです。著書では脳と心の関係から、自分を自由にしてくれる養老流ものの見方、考え方を解説しています。その先生いわく、子どもと遊ぶことが人を見抜くための感覚を磨くいいトレーニングになるそうで――。
対人関係のトラブルを避けるには
理屈や意味を求めても、人と人との機微に気づくことはできません。
気づくのは一瞬です。
気づかなければ素通りですから、その瞬間はもう永遠に訪れません。
では、どうしたら気づくのか。それには感覚を磨くしかありません。
旅先で道を訊くとき、できるだけ親切そうな人を見つけようとする。
これも味方を見つける感覚でしょう。理屈ではありません。