イラスト:小林マキ
大人になってからアレルギー症状に悩む人が増えています。国民病といわれる花粉症はさることながら、食べ物がもとで起こる食物アレルギーに悩む人も増加。そこで、アレルギー発症のメカニズムや、食事で気をつけたいポイントをアドバイスしてもらいました。
(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/葛西由恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》)

マスト細胞から化学物質が放出される

そもそも私たちの体には、細菌やウイルスなどの異物が入ってきたときに、それを撃退しようと働く免疫という仕組みが備わっています。ところが、有害でないにもかかわらず、体が異物と判断して《過剰な免疫反応》を起こすのがアレルギーです。

「花粉症の場合、花粉という異物(アレルゲン)が体に侵入すると、皮膚や粘膜に存在するマスト細胞の表面に『IgE抗体』と呼ばれるタンパク質が作られます。そこに再びアレルゲンが入ってくると、IgE抗体が『敵がやってきたぞ』とマスト細胞を刺激。マスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が放出され、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった症状が引き起こされるのです」と説明するのは、相模原病院アレルゲン研究室長の福冨友馬先生。

花粉症を「花粉が飛散する一時期だけ辛抱すればいい」と放置していると、別のアレルギーを呼び込むこともあるといいます。

「花粉症をもっていると、果物や野菜などを食べてさらなるアレルギーを起こす可能性も。これを『交差反応』と呼びます。果物や野菜に花粉と似たようなアレルゲンが含まれるために反応してしまい、のどがかゆくなったり、炎症を起こしたりするのです」(福冨先生。以下同)

たとえば、スギ・ヒノキの花粉症をもつ人は、リンゴ、サクランボ、モモ、ナシ、イチゴ、プラム、ウメなどのバラ科の果物や柑橘系の果物で症状が出ることが多いそう。

「これらに共通して含まれるのがGRPというタンパク質で、これに反応してしまうと考えられています。熱や消化酵素にも強いため、生で食べる以外に缶詰や梅干しなどの加工品でも症状が起こることが。花粉症の症状が出ているときは、特に反応しやすいので注意しましょう」