「舞台の上で深く呼吸ができる役者さんになりたい。舞台に立つことを怖いと思わない自分でいたい、と」(撮影:宅間國博)
2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、主人公北条義時の父・時政の美しい後妻・りくを演じ、物語のなかで重要な役柄を演じた。映画やテレビドラマからアングラ演劇まで、幅広いジャンルに取り組んでいる宮沢りえさん。その原動力とは何だろう。常に挑戦する理由は――。
(撮影=宅間國博 構成=篠藤ゆり)

豊かな言葉を持てるように

2022年は大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、北条時政の妻、りくを演じました。1年半かけて一つの役に携わるのはとても貴重な時間だと感じています。

映像の仕事も刺激は山ほどありますが、30歳で本格的に舞台に携わったとき、「40代にはちゃんと舞台に立っていられる人になろう」と決めたんです。舞台の上で深く呼吸ができる役者さんになりたい。舞台に立つことを怖いと思わない自分でいたい、と。

そのためにいただいた舞台の仕事は全部受けたいと思いましたし、実際チャレンジして。そこから10年かけて、観客の皆さんと空間を共有する楽しさや面白さを感じられるようになりました。もちろん今も怖さは常にありますが。

芝居に取り組む時は、かつて蜷川(幸雄)さんから言われた「自分を疑え」という言葉を肝に銘じています。自分が今やっていることに疑問を持たなくなったら、そこで終わりだと思っているので。「これでいいや」と思うのは楽ですし、常に意識していないと疑うことを忘れてしまう。エネルギーも要ります。

でも、責任を持ってお客様に芝居を届けるために、自分を疑って、より高いところに飛べるよう誠実に努力するのは、当たり前で必要なことだと思うのです。