「病んだからこそ、会えた人」

大事な大事な命に関わることですから、私たち医療者も日夜、懸命に励んでいます。

でも、どうしても至らぬところはある。

患者さんにしてみれば、怒髪天をつくことだってあるでしょう。

そんな時は、医療者を「病んだからこそ、会えた人」だと思ってやってくれませんでしょうか。どうか、叶うのならば。

病気になったのは残念やし、悔しいけれど、もしかしたら健康なままやったら、一度も会えんかったかもしれへん。

まさに、この星で「77億5千万分の1」の確率で巡り会えた人──10万人に1人が発症するジストよりはるかに珍しい、奇跡の人なんや。

よぉし、こうなったら、とことん「治して」アピールしてやるで! って思えたら、しめたものです。

ほんのちょっとの気持ちのゆとりで、お互いが楽になることも、あると思うんですよね。

怒っているより、気ぃ楽に構えていたほうが、きっと治療もうまくいくんやないでしょうか。

 

※本稿は、『緩和ケア医 がんを生きる31の奇跡』(双葉社)の一部を再編集したものです。


緩和ケア医 がんを生きる31の奇跡』(著:大橋 洋平/双葉社)

10万人に1人の稀少がん・ジストを患いながらも、”心の免疫力が上がる言葉”を支えに生きる緩和ケア医・大橋洋平先生。著書第4弾となる本書のテーマは「奇跡」。肝臓転移が判明した日を1日目として数える「足し算命」がついに1000日を突破した背景とは? そして見出した”生きる奇跡”とは?読むだけで胸の痛みがスッと消える「心の抗がん剤」。