イラスト:川村易
今日2月22日は「ニャン・ニャン・ニャン」の猫の日。苦しいことがあった時、家族の一員であるペットに、助けられたことがある人も多いのではないでしょうか。麻紀子さんの母親の窮地を助けてくれたのも、飼っていた猫でした――2016年6月28日号の手記を再配信します。

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身内の急な異変に直面すると、パニックに陥り、なにもできなかったりするものです。状況を打開してくれるのは、思いもよらない誰かかもしれません。宮崎県に住む荒川麻紀子さん(仮名・64歳)は、元気だった母親が思いもよらない理由で突然認知症になって…

入院のショックで一過性の認知症状態に

10年前、80歳を迎えようとしていた母は、会社勤めの私に代わって、炊事や買い物など家事全般をバリバリとこなしていた。母の口ぐせは「暑い季節に生ものを食べてはいけない」である。そんな母が、ある夏の日の夕食の席で「今日はお父さんとお昼に外食したからお腹がいっぱい」と言い、夕食に手をつけなかった。

さほど気にせずその日は寝てしまったが、翌朝目覚めると母の様子がおかしい。朝食に食べたヨーグルトを吐いて苦しそうにしているのだ。あわてて病院に連れて行こうとしたが、「大丈夫だから会社へ行きなさい」の一点張り。

仕方なく会社へ行ったが、仕事に集中できるわけもなく、5時になると家路を急いだ。帰宅すると、普段我慢強い母が「痛い、苦しい」と絶叫。病状の悪化を危惧した私は、迷わず救急車を呼んだのである。

検査の結果は食中毒だった。医師いわく、もともと体調が悪かったところに、昼に食べた刺身が引き金となって食中毒を起こしたのだろうとのこと。母は即日入院し、私は父と交代で3週間ほど母に付き添うことになった。

幸い食中毒の症状は日を追うごとに快復。しかし、6日目の午後に父と交代するために病室へ入ると、医師や看護師がなにやらあわただしい。驚いてベッドへ近づくと、母の表情がまったくないではないか。父に聞くと、2時間前まではよくしゃべっていたのに、急にものを言わなくなり、ここが病院であることさえわからないという。