転職し、違う職場に移っても、「いつかは当たる」と信じて買い続けた。ところが、結婚・出産を経て勤め始めたパート先で、社員の人から心揺さぶられる話を聞いてしまう。

「出張中に時間があったから、駅前の宝くじ売り場で買ったら、10万円当たったんだ」

それまで生活を切り詰めて、コツコツ買ってきた私は、10枚買えば必ず当たる末等以外、一度も当たったことがない。

それなのに、それなのに……。普段買わないという、もっさりした中年男性に宝くじの神様がほほ笑むとは。あまりのショックに、しばらく宝くじから遠ざかった。

数年後、売り場を見て思い出したのは、独身時代に通っていた頃のこと。顔なじみの売り場の女性と夢を語り、職場のグチも聞いてもらっていたっけ。ああ、懐かしい。

宝くじが当たれば家を買って、家族みんなでパーッと海外旅行ができる。ママチャリももう少し良いものにしたい。むくむくと夢が風船のように膨らみ始めた。想像するだけで楽しい。

宝くじファン復活である。