これ以上お金を無駄にするのもなあ、と思い始めた頃、新型コロナウイルス感染拡大による自粛生活が始まった。宝くじ売り場も時短営業となり、閉まっていることもある。

これは潮時ではないか。そこで、

「母さんは、宝くじを買うのをやめる」

と家族に宣言した。今まで「お金の無駄遣い」とチクチク言ってきた子どもたちも、きっと喜んでくれるだろう。ところが、

「ダメ、続けて」

と次女が反対した。

理由を聞くと、「趣味と夢がなくなったらボケるよ。お母さんにとって宝くじは、趣味と夢を両方兼ねているんだから」と。

そういう考え方もあるのか。

「ボケてわからなくなる前に当たりたいね」

と言って、娘と笑い合った。

「宝くじで一攫千金」は私の夢だ。今までどれだけのお金を費やしてきたことだろう。だが、若い頃は働く原動力となり、年を重ねて趣味の域に達し、これからは認知症予防になるらしい。

一度でもいいから、宝くじの神様と両想いになりたいものだ。

手記 漫画版はこちら


※婦人公論では「読者体験手記」を随時募集しています。

現在募集中のテーマはこちら

アンケート・投稿欄へ