(イラスト:村本ちひろ)
高額当選したら何をしよう? そんな夢を一度は膨らませた経験があるのではないでしょうか。一般財団法人日本宝くじ協会が2022年に行った「宝くじに関する世論調査」では、宝くじを過去に1度でも購入したことのある購入経験者の割合は81.4%。そこから推計される購入経験者は約8,572万人とのこと。また、最近1年間で宝くじを購入した人の平均購入金額は前回調査より増加して 31,330 円と、物価高が続く中でも夢を持つ方は少なくない様子…。けれど、宝くじの副産物はそれだけではないのです。香川朋美さん(仮名・大阪府・主婦・59歳)は20代半ばで宝くじの魅力を知り、そこから何十年にもわたる宝くじ人生が始まったそう。30年間ハズレばかり、ついにやめると決心したら思わぬ一声がかかって……。

「働く原動力」という言葉に吸い寄せられて

思い返せば20代半ばの頃、12月になると年末ジャンボの発売がよくニュースになっていた。テレビには宝くじを買い求める多くの人の姿が映し出されている。

当たるかどうかわからないもののためにお金と時間を費やすなんて信じられない。若き日の私は、その映像を「あーあ、こんな寒い日に並んでるよ」とかなり冷めた目で見ていた。

当時の私の勤め先は、恐ろしく薄給だった。ただ、雰囲気の良さだけは満点。中でも、私より10歳以上年上の上司は穏やかで尊敬できる人だった。専業主婦の奥さんと子ども2人を養っていて、お昼ご飯はいつもパン2つが定番。家族のために堅実に生きているという印象だった。

ある時、私が近くの銀行に振込手続きに行こうとしたら、その上司が「個人的な用事をお願いして申し訳ないけれど、年末ジャンボを10枚買ってきてもらえないかな」と言う。

この人が宝くじみたいな当選確率の低いギャンブルに賭けるなんて意外だ。聞けば「夢があるし、働く原動力の一つになっているんだ」と。「働く原動力」という言葉に吸い寄せられた私は、宝くじ仲間に入ることに。そこから何十年にもわたる私の宝くじ人生がスタートする。