イスラエル軍に壊された家で洗濯をする女性(2014年、ハンユニス・フザー村)〈撮影◎古居みずえ〉

音も動きもすべて動画に残したい

写真には写真ならではの良さ、強さがあります。でも映像の面白さというものもあるんですね。

特にパレスチナの人は表情が豊かで、踊れるし、歌えるし。詩を嗜む文化があるので、みんな詩人のように言葉が豊か。結婚式などの集まりではお年寄りも若い人も太鼓を叩いて歌を歌うんですが、それがすごくいいんですよ。だから音も動きもすべて記録に残したいと思っていたので、動画はうってつけでした。

写真は一瞬のシャッターチャンスを辛抱強く待ち続ける大変さがありますが、体力的には映像のほうがハードです。ずっと撮り続けなくてはならないし、そのあとの編集作業もとても時間がかかる。でもストーリー性がある動画だと、前後関係もわかるし、気持ちもダイレクトに伝わりやすいのが利点。

ガザの居住地区近くに張られたテントからイスラエルとの境界まで「帰還の行進」を続ける人々(2018年)〈撮影◎古居みずえ〉

とはいえ写真でもドキュメンタリー映画でも、一人で機材を担いで撮影するスタイルは変わりません。私の撮り方は、なるべく被写体の生活に寄り添って、自然な姿を見せてもらうのが基本。大きな機材だと、相手に威圧感を与えることもあるので、家庭に入る時はなるべく小さいカメラを選んだりと工夫していました。最近は小型の機材がどんどん出てきて、ありがたいですね。

最初の頃はデジタルではなくテープを使っていたし、鉛みたいに重たい電池の塊を、予備も含めて何個も持って歩かなければなりませんでした。

長年の肉体の酷使がたたったのか、昨年末にとうとう腰を悪くしてしまいました。ぎりぎりまで手術は避けたくて、ブロック注射を3回ほど打ってもらったんですが、それも効かなくなってしまって。年明けに病院へ行ったらすぐ検査入院から手術。1月末まで3週間ぐらい入院して、今はリハビリをしている最中です。

パレスチナでは紅茶をよく飲む。朝のお茶を入れるウンム・アシャラフ(2018年)〈撮影◎古居みずえ〉