高橋 どんな体操なんですか?
池谷 上半身でイヤイヤしながらその場でジョギングする体操なんです。両肩の力を完全に抜き、両腕を左右にダランと垂らしたまま、子どもがイヤイヤするように左右に揺らします。この動きを1分間行って、30秒ほどその場で足踏み。それを3回繰り返すと、10分間ウォーキングしたのと同じ運動量になるんです。
この「ゾンビ体操」をしながら、ゆっくり走ってトイレに行ってほしい。そして、トイレについたら、8秒かけてゆっくりと便座に座り、用を足し終わったら、また8秒かけてゆっくりと立ち上がる。
高橋 なるほど、スクワットをするような感覚ですね。以前、舞台でご一緒した先輩の女優さんが、おばあさん役をやるときに、椅子に座るシーンでわざと勢いよくドサッと座っていました。歳をとると背筋や腹筋が衰えてゆっくりと腰を下ろせなくなるからって。実際にそうならないように、トイレのたびにスクワットをすればいいんですね。
池谷 ええ。この「ゾンビ体操」とスクワットを習慣にすれば、わざわざスポーツジムに通って運動をする必要もありません。
高橋 いいお話を聞きました。私も、さっそく試してみたいと思います。
年齢を重ねると、骨密度と血圧も変化
池谷 睡眠時間は、どのくらいですか?
高橋 夜の11時から12時の間に眠り、朝は6時から6時半の間に自然と目が覚めますね。
池谷 毎日、平均して6時間半くらい眠っている計算ですね。高橋さんくらいの年齢ですと、それでも良いと思います。日本人の平均睡眠時間は25歳で7時間、45歳で6時間半、65歳以上は6時間未満。世界の平均睡眠時間から見ればやや少なめですが、この平均時間が眠れていれば、健康上は大きな問題なしといえます。「なにがなんでも8時間寝なくちゃ」とか、「途中で目が覚めてしまうから、睡眠薬や精神安定剤を飲もう」と、薬に頼るのはやめたほうがいい。
高橋 薬には副作用がありますものね。私の場合、眠りにつく数時間前にゆっくりとお風呂に入り、全身の筋肉をもみほぐします。これだけで心身ともにリラックスして寝つきがよくなるんです。ぐっすり眠れるように、寝室にお気に入りのアロマやお香をたくこともありますね。また、毎日、ほぼ同じ時間に寝起きしているおかげか、夜11時を過ぎると自然と眠くなるんです。そして目が覚めたら、部屋の窓を開けて新鮮な空気を吸い、太陽の光を思いきり浴びるようにしています。
池谷 その規則正しい生活がいい睡眠を導いているのですね。毎朝決まった時間に太陽の光を浴びて体内時計をリセットすれば、そこから約14時間後にメラトニンという眠りを誘発するホルモンが分泌され始め、毎晩同じ時間に自然と眠くなる。毎日決まったリズムで生活することが、いい睡眠を得るために最も大切なことなんです。