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歳を重ねるとともに、血圧や骨の強さ、ホルモンバランスなど、体は次第に変化していきます。更年期をきっかけに、体の変化に対応してきた女優の高橋惠子さんが、これからも健康を保つ秘訣を、医師の池谷敏郎先生に訊きました。(構成=内山靖子 撮影=木村直軌)
「食事・運動・睡眠」の3つに気をつけています
池谷 高橋さんはとても若々しく元気でいらっしゃる。ご自身の健康を保つため、日頃からどんなことに気を使っておられるのですか?
高橋 私は48歳のときに更年期障害になって、その後の2年間、さまざまな不調に悩まされたんですね。家事も仕事もまったくやる気が湧かず、心身ともにうまくエンジンがかからなくなってしまって。幸い、婦人科で治療を受けたおかげで、50歳になったときにはスッキリ更年期を卒業したんですが、それ以来、「食事」「運動」「睡眠」の3つにはかなり気をつけるようにしています。
池谷 いくつになっても健康でいるためには、その3つが何よりも大切なんですよ。
高橋 食事は栄養が偏らないように、さまざまな種類のものをバランスよく。旬の食材にこだわって、食べすぎないよう腹八分目が基本です。運動は、毎日の生活の中で歩くように心掛けています。以前は、自宅から仕事場まで車で送迎してもらっていたのですが、今はできるだけ電車を使うようになりました。駅まで歩いていきますし、地下鉄に乗れば階段を上り下りする機会も増えるので、筋トレにもなりますから。
池谷 いい心掛けですね。更年期以降の女性にとって一番マズイのは歩かないこと。歩かないと骨密度が減って骨粗しょう症につながるし、肺の呼吸機能も衰えていく。人間の体も車と同じで、たまに動かそうと思ってエンジンをかけてもエンストしてしまうのです。
高橋 運動をしないと、筋肉だけでなく体のあちこちが衰えてしまうのですね。
池谷 そうです。実は、大腸がんのリスクも高まると言われているんですよ。運動不足だと血液やリンパの流れが悪くなり、体内に活性酸素が溜まってしまい、それががんの原因になるという説もあるんです。
高橋 がんにまで! 怖いですね。
池谷 ええ。でも、私のクリニックを訪れる中高年の女性患者さんたちは、「まったく運動しない」という方が非常に多い。そんな方たちにおすすめしているのが、トイレタイムを運動タイムに変えること。自宅でトイレに行くときに、僕が考案した「ゾンビ体操」をしながら行ってください、と。