高橋 これ以上、高血圧にならないためには、どんな心掛けをすればいいですか?
池谷 まず減塩はマストです。そして痩せれば自然と血圧が下がるので、内臓脂肪を落とすことも大切。健康診断でへそ回りを測ったとき、男性で80㎝以上、女性で90㎝以上ある人は内臓脂肪が溜まっているので注意してください。
あとはやはり運動ですね。筋肉を動かすとブラジキニンというホルモンが分泌されて、血管をしなやかに開き、血圧を下げる効果が期待できます。スポーツジムなどでは筋肉量を測ってくれるところもあるので、血圧の数値が気になる方は、一度、ご自分の筋肉量もチェックしてみることをおすすめします。
血管力をアップすれば、若さを保てる
高橋 先生は血管がご専門でいらっしゃいますが、歳を重ねると血管が弱くなったり、ボロボロになったりすると聞きました。血管が弱くなると、健康上、どんな不都合があるのですか?
池谷 年齢とともに動脈硬化が進み、血管の壁が硬くなっていくと、脳梗塞や心筋梗塞を発症しやすくなります。血管のしなやかさを保つためにも女性ホルモンが必要。女性ホルモンが減っていく更年期以降の女性は血管年齢が急激に衰えていくので要注意です。
高橋 血管なんてこれまで意識したことはなかったのですが、私たちの健康を支えている大事なものなんですね。
池谷 おっしゃる通りです。心臓から送り出される血液を体の隅々まで運ぶ役割を担っている血管は、私たちの体のすべての細胞をコントロールしていると言っても過言ではありません。その血管の働きが衰えれば衰えるほど、老化が進み、さまざまな生活習慣病が起こります。脳梗塞や心筋梗塞、がんを始め、あらゆる病気を防ぐためにも血管力をアップしておくことが大切なんですよ。
高橋 どうすればしなやかで若い血管を保つことができるんですか?
池谷 まず、食生活に魚の脂を積極的に取り入れること。EPA、DHAといった脂は必須です。血液の中には白血球があり、その中に体をさまざまな病気から守る免疫細胞があるのですが、白血球の周りにどういう脂がくっついたかでその働きがまったく違ってきます。
EPAやDHAが豊富な脂がつけば、白血球もベストな働きをしてくれる。しかしリノール酸が多く含まれるサラダ油や、豚肉や鶏肉などの脂がつくと、白血球の働きも荒っぽくなり、その結果、肌荒れやアレルギー、動脈硬化なども起こしやすくなっていくんです。