温泉源周辺には遺跡がいっぱい!

八岩まどかもその著書『温泉と日本人 増補版』の中で、「草津温泉でも、楽泉園に引き湯するためのパイプ敷設工事にあたって行なわれた発掘調査で、先史時代の土器が発見されたという。温泉源の付近に、古代の人々が住んでいたのである」

と述べ、また、
「日本全国に散在する遺跡には、現在の温泉近くに存在するものも少なくない」と指摘し、旧石器時代の遺跡では大台野遺跡(岩手県西和賀町)が、縄文時代では大湯遺跡(秋田県鹿角(かづの)市)、上之段遺跡(長野県茅野〈ちの〉市)、川頭〈こうがしら〉遺跡(長崎県諫早〈いさはや〉市)などがあり、弥生時代では九重〈ここのえ〉遺跡(島根県安来〈やすぎ〉市)、釜ノ口遺跡(愛媛県松山市)を挙げ、「何らかのかたちで人々が温泉と関わって生きてきたことが想像される」と結論づけている。

草津温泉・西(さい)の河原公園には、自噴のむき出しの温泉がたくさんある。縄文時代に思いを馳せながら散策できる

※旧石器時代:~紀元前1万4000年頃、縄文時代:紀元前1万4000年頃~紀元前4世紀、弥生時代:紀元前4世紀~紀元3世紀中頃。

※本稿は、『秘湯マニアの温泉療法専門医が教える 心と体に効く温泉』(中央新書ラクレ)の一部を再編集したものです。