何が正しいのかわからない

当時組長だった私は、自分の不安や動揺をできるだけ出さないよう、
組のみんなの様子をいつも以上に気にかけるようにしていました。

そして、自分に何ができるのか、
考えても考えてもどれも違う気がして、何が正しいのかわからない…
これが正直な気持ちでした。

犠牲になられた方々の数字が増えていく中、東京宝塚劇場でも公演が中止になり、
一方で、みんなが辛抱を強いられる中でも、大劇場の公演は止まらず、
いろんな感情が流れ、とても複雑な思いでした。

しかしそんな中でも、お客様が足を運んでくださり、
拍手や、励ましの言葉をもらったりと、
その度に、舞台を続けてもいいんだと少し前向きになれたり、
でもやっぱり…という思いが襲ってきたり、
その繰り返しでした。

そんなある日、体調を崩し倒れてしまった仲間がいました。
彼女は被災地東北の出身でした。