(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第42回は「組長の後悔」のお話です。
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)

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2011年3月11日に迎えた初日

2011年3月11日。
私達はこの日、宝塚大劇場で初日を迎えようとしていました。

大きな地震があったらしいという情報が入りながらも、
初日の幕は開きました。

どんな事になっているのだろうと、
初日の緊張と、地震の心配とが交差しながら、
来てくださったお客様へ笑顔をお届けするという事だけを真摯に努め、
何とか無事に初日の幕は降りました。

舞台袖に入る度に入ってくる地震の情報のショックが大きく、
どうやって舞台に集中したのか、記憶があまりありません。
ただいつも以上に集中しなければと思った事だけは覚えています。

当然組のみんなも不安にかられ、それ故に体調を崩す者も出たり…。
動揺と緊張の日々が始まりました。