気弱な自分もいるけれど

意思が強いのもしっかりしているのも、全部「元宝塚」だから。歩き方や仕草に工夫を凝らしても、「元宝塚の人っぽい」の一言で済まされ、そこから進むことができない。

「姿勢が良いと宝塚っぽいと思われるから、わざと背中を丸くしていた時期もあった。子どもの時から姿勢が良いってよく褒められていたから、宝塚は関係ないのにさ」と実際に猫背になってみせながら、早霧さんは少し愚痴をこぼす。

「その肩書がはじめにくるのは当然だし、私が男役をやり切ったことの成果でもあると分かってはいるけれど……」

宝塚を称賛されれば、素直に嬉しい。自分にとってかけがえのない場所である宝塚を誇りに思いつつも、今の自分の魅力とは何かと自らに問いかけずにはいられなかった。「宝塚」という名前から距離を取ろうとしたのは、少しでも気持ちが近づけば自分はまた宝塚に染まってしまうと思ったからだった。

それに、宝塚歌劇団という組織から出た時、俳優として舞台に立つ一方で、一社会人として何かできることを見つけたいという思いが湧き上がった。

そのためにも、元トップスターとしてだけではない「表現者、早霧せいな」の認知度を高めなくては―。そう考えても、様々な取材やSNSでの発信の仕方に戸惑ったこともあった。

「宝塚では『多くを語らないことが美学』という感覚があるでしょ。今は、自分の言葉を自由に発信できるけど、うまく伝わるかいつも不安になる」

広い世界に飛び出したい!と思いながら、いざとなると慎重になってしまう自分がいた。

「強気な私と弱気な私の、デッドヒートだよ」