古谷さんいわく、インターネット普及率の世代間格差がほとんど見られなくなっていることに、あらためて注意してほしいとのことで――(写真提供:Photo AC)
「久しぶりに実家に帰ると、穏健だった親が急に政治に目覚め、YouTubeの右傾的番組の視聴者になっていた」――そんな光景が今日もこの国のどこかしらの家庭で繰り返されている、と話すのは、作家・古谷経衡さんだ。近年、シニア層もネット動画を視聴するようになった一方、ネットへの接触歴がこれまで未熟だったことから、ネット上でのヘイトが昂じてトラブルが頻発。「実はあなたの隣で起きているかも」と警鐘を鳴らす古谷さんいわく、インターネット普及率の世代間格差がほとんど見られなくなっていることに、あらためて注意してほしいとのことで――。

YouTube無料公開で躍進した右派番組

動画視聴のインフラが整うや、2005年にアメリカで創業したYouTubeが2007年6月に日本に上陸した。ドワンゴ社によるニコニコ動画はそれよりわずかに早くサービスを開始したがほぼ同時期である。

動画視聴インフラがほぼ完全に整備された2007年当時、YouTubeは当初「便利な外部HDD」として機能した。

つまりサービス開始当初のYouTubeは現在のように投稿する動画のユーザー属性条件や制約などが無く、違法にアップロードされたアニメやドラマ動画が横行した。

つまり動画をローカル(自分のパソコン内部)に保存するのではなく、あたかもYouTubeを外部ハードディスクとして使う方法が瀰漫(びまん)した。

ニコニコ動画では早くからこのような違法動画が削除されたが、YouTubeはアメリカ企業ということもありこの部分は緩かった。

勿論現在ではこの手の違法動画はすぐに削除されるが、当時はこのような状況であった。

現在のように独自の動画を投稿して収益化を行うユーチューバーが登場するとは、想像だにできなかった。