堀井さん、ふとしたことでママ友たちとの思い出がよみがえってきたそうですが――。(撮影:キム・アルム/写真:『一旦、退社。』より)
岸田政権が22年10月「その支援に5年で1兆円を投じる」と表明して話題になった「リスキリング」。概ね「別の業務に就くのを目標に、新たなスキルを習得する」といったことを指しますが、先の見えない時代、歳を重ねたのちに新たな道を模索するのは、さほど珍しいことではないのかもしれません。50歳でTBSを退社したフリーアナウンサー・堀井美香さんも、新たな道に進んだ一人。退社前からの記録を綴ったエッセイ『一旦、退社。50歳からの独立日記』が現在、話題となっています。その本によれば、堀井さん、ふとしたことでママ友たちとの思い出がよみがえってきたそうで――。

ママ友たちとのこと。

参議院選挙の投票日、朝早く、ほぼ寝起きのような格好で、夫と息子と三人で近所の小学校へ投票に出かけた。そこは娘が通っていた公立小学校である。

もう選挙でしか来ることもないが、10年前と変わらないグラウンドや校舎を見て、PTA活動のこととか、もうあまり連絡もとらなくなったママ友のことなんかを時々思い出したりもする。

校舎に入ろうとした時、本名で遠くから呼びかけられた。振り向くと、もう何年も会っていない、仲の良かったママがいた。

娘たちが同じ塾に通っていて、送り迎えも一緒にした。あの頃はよく同じメンバーでランチをしたり、長い間学校の前で立ち話をしたりしたが、それぞれが違う中学に入ってからは連絡も次第に途絶えた。