『SLAM DUNK』の主役は誰だ

――映画だけを鑑賞してみて、『SLAM DUNK』はどういう作品だと感じた?

原作を読んでいる人にとっての主役とは、当然あの人しかいませんが(写真:婦人公論.jp 編集部)

一言で言えば、バスケを核にしつつも、宮城リョータがいろいろな苦難を乗り越え、プレイヤーとしても、人としても成長していく物語、みたいな感じでしょうか。

――逆に原作だけ読んでいる人は、「強豪校からの誘いを断り」って話はあったけれど、リョータがそもそもなぜこんなにバスケがうまかったか、という点についてはよくわかっていないのでは。途中から「問題児のあいつが帰ってくる」というニュアンスで登場した、運動神経抜群のポイントガード、っていう扱いだったし。だからこそ映画でリョータが掘り下げられたのは驚きもありつつ、嬉しかった。原作での中心は、やっぱり主役の桜木花道だったし。

ええ! 原作の主人公って桜木なんですか? あの赤髪坊主の? それは一番のナゾというか、めっちゃ驚きです……。なんか「桜木君の成長が勝敗を左右する」的に安西監督から発破をかけられるたび、比較的スムーズにその期待にこたえる感じで話が進んでいくから、そこまで主人公感がなく。というか、リョータ以外の誰かが主人公、ってことにまったく考えが及ばなかったです。

――映画がそれだけで、いかに完成した作品なのか、ってことの表れなのかも。ちなみに原作が完結した後、試合の後日談的な内容が描かれた『あれから10日後』という作品があって、出版もされていることは知ってる?

いえ、全く知らないです。存在そのものを今初めて聞きました。

――内容についてはここでは詳しく話しませんが、その中で、赤木達が卒業した後、リョータが次のチームの中心になることが示唆されていて。

それはよくわかりますね。映画の中でもリョータがやらなきゃ誰がやる、みたいに頼られる場面が多かったですし、実際、試合後も含めて活躍しているのが作品中でわかるようになっていましたし。

――原作同様、リョータが大好きなマネージャー・彩子さんの前で奮起、っていうシーンもよかった。

リョータって、あのマネージャーさんのことが好きだったんですか? むしろマネージャーの方がリョータのことを好きで、支えているのかと思ってました。だって試合中には手に……。あれは好きじゃないとできない。

――うーん、原作では最初から最後まで、あまり相手にしてなかった気がするけど、そういわれると、彩子さんもやっぱりリョータを好きだったのかな。それは自分にもわからない……。

後編に続く