もともとワイドショーの文化

もともとニュース番組にはコメンテーターはあまり出演していませんでした。

スタジオにいるのは、アナウンサー、キャスター、お天気担当くらいで、項目によっては取材を担当した記者が出演して説明したり、そのニュース項目に関係する分野の学者や専門家が解説するのが基本形だったのです。

『腐ったテレビに誰がした?「中の人」による検証と考察』(著:鎮目博道/光文社)

コメンテーターやゲストを呼ぶのは、もともとワイドショーの文化でした。芸能や文化、生活情報、視聴者の生活に密着したニュースなどを取り上げるのがワイドショーの役割です。

「視聴者の共感」ということが非常に重要になってくるので、「感想を言うプロ」としてコメンテーターを呼ぶのが効果的な演出方法として確立されていました。

この「コメンテーターを呼ぶ」という演出方法は、いつしかニュース番組でも当たり前になっていきました。

私の知る限りでは、テレビ朝日が久米宏(くめひろし)さんの『ニュースステーション』を始めたときに、レギュラーコメンテーターとして朝日新聞社の小林一喜(こばやしかずよし)さんを起用してから、ニュース番組にレギュラーコメンテーターが出演するのが一般的になったのです。

小林さんは、人柄も温厚で、ニュースに対する造詣も深い。バラエティ畑出身の久米宏さんをやさしくフォローする感じも素敵で、非常に素晴らしいコメンテーターでした。