コメンテーターは毎日代えるべき

まして最近では、「若者の代表」的な立ち位置で、特にニュースにくわしいとも思えない「妙にオシャレな学者さん」や「オピニオンリーダー的な起業家」とかがレギュラーコメンテーターになっているニュース番組もあるので、いっそう「いったいなぜニュース番組でこの人のたんなる感想をいちいち聞かされなければならないのか」と疑問に感じるばかりです。

こうした「そのニュースにくわしくない人の感想」で時間を埋めて、ファクトを伝えるニュースの割合を下げることは、言ってみれば「事実を意見で水増ししている」ことです。

そうやって水増しすることが、最近テレビニュースの信頼感が低下している原因になっているのは間違いありません。

テレビマン的な内輪の事情で言うと、たしかにレギュラーコメンテーターが決まっていたほうが手間はかかりませんし、人気者のレギュラーコメンテーターがいれば視聴率にもつながると考えるのは無理もないのですが、やはり長期的な視点に立つと、ニュース番組はレギュラーコメンテーターを起用するのをやめるべきです。

コロナ禍を経験して、多くの人が感じたと思うのですが、世間がテレビニュースに期待しているのは、信頼できる事実を客観的に伝えることです。

「解説者」として、そのニュースにくわしいコメンテーターがニュースをきちんと解説していくことが大切なのでは?

そのためには多少手間がかかっても、その日のニュースに合わせて毎日別のコメンテーターを起用していくことが、ニュースの信頼を回復すると私は確信しています。

※本稿は、『腐ったテレビに誰がした?「中の人」による検証と考察』(光文社)の一部を再編集したものです。


腐ったテレビに誰がした?「中の人」による検証と考察』(著:鎮目博道/光文社)

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YouTubeに押され「テレビは終わった」と言われたりしていますが、本当に凋落の一途をたどるのでしょうか!?