幸子 初めて会った時に、吟さんって、まぁるい雰囲気で優しそうだなと好印象を抱いていたので、電話をもらって嬉しかったけど、思わず「何でしょうか?」って聞いてしまった。最初は「デュエットの話が来てるんだけど、ご一緒しませんか?」でしたね。
吟 あはは。実はそんな話はなかったのだけどね。後から知り合いの音楽関係者に持ちかけて帳尻を合わせちゃった。でも本当に今度ふたりで「凪の風景」というデュエットソングを発売することになったもんだから、ちょっとできすぎじゃない?
って怖くなったり。(笑)
幸子 デュエットの話は手放しで喜んだのだけれど、最後に「あのー、単刀直入に言いますけど、僕と結婚を前提につきあってくれませんか?」って言われた時は戸惑ってしまいました。
吟 それもシナリオどおりなんだよ。お互い年齢的に残り時間が少ないわけだから、つきあうなら結婚を前提にしたい、と。そうでないとつきあってもらえないと思ったんだ。第一、下心があるのに、ないフリをするのは卑怯じゃない?
幸子 今ならそういう人だってことがわかるけれど、あの時はとっさに、もっと若い人がいるでしょう? と思いました。
吟 僕は精神的に寄り添い合える人を求めていたから、年齢が近い女性がよかったんだよね。