「決戦の日」は卒業した次の日に訪れた

しかし、「決戦の日」は意外と早く訪れた。というか……卒業した次の日に訪れた。

きっかけは、自身の卒業公演の千秋楽後、ファンの方々にお礼を伝える為のフェアウェルパーティー。司会を担当して下さった鳳真由(おおとりまゆ)さんにお礼のご挨拶をさせて頂いていた時のこと。

『こう見えて元タカラジェンヌです 遅れてきた社会人篇』(著:天真みちる/左右社)

話の流れで明日の予定をお伺いすると、会場付近のアパレル店で仕事をされるということで、OGライフ初日の予定として、冷やかしに行くことにした。

そして、そこで鳳さんに接客して頂き、
「ね、せっかくだからスカート穿いてみない? ここのスカートとっても素敵なの!」と、巧みな接客術にまんまと乗せられ試着することに。

試着した私を見た鳳さんは、
「え! 全然違和感ない! 穿きこなしてるよ!」
と褒めちぎった。

更には、
「(周りの店員さんに)似合ってますよね! カワイイ~」
「(周りの店員さん)カワイイです~。似合ってる~」
と、私の周りをぐるりと囲み、巧みな話術で神輿を担ぎにくる。

私は、
「騙されるまい‼ 買いに来たみんなに言ってるんだ! 私にだけ言ってるんじゃない!」
と、心の中で言い聞かせた……

次の瞬間、丁寧に包装されたスカートを手に持っていた。

さらにその次の瞬間、スカートに着替え、東京宝塚劇場の入り口で写真を撮っていた。