「スカート貧乏」

こうして、鮮烈なスカートデビューを果たした私はすっかりスカートの可愛さに夢中になった。

娘役の先輩(=スカートの先輩)と一緒に買い物に出かけ、おススメされるスカートを片っ端から買い漁った。そしてどこへ行くにもスカートを穿いて出かけた。

ある日……とあるお店でとてつもなく可愛いオーラを放つスカートが目に飛び込んできた。

淡いオレンジとグリーンのチェック柄、同柄のブラウスとセパレートでも、ワンピースとしても着ることのできる、最強アイテム。そんなスカートが「私を買って~。私を着こなして~」と呼びかけてくる。

ここまでで目についたスカートを片っ端から買い漁り、「スカート貧乏」になっていた私は耳を塞いだ。聞いちゃダメだ! ちょっと節約しないと、スカートで破産するぞ!

宝塚を象徴する羽根とメイクをしながら、サラリーマンに扮した天真さん(撮影:四方花林/写真提供:左右社)

……次の瞬間、丁寧に包装されたスカートを手に持っていた。

そして次の瞬間、その格好を誰かに披露したいと思った。ちょうど次の日に、宝塚OGの壮一帆(そうかずほ)さん、鳳真由さん、愛加(まなか)あゆさんと約束があったので、私はこのスカートを穿いて会いに行くことに決めた。