たそ、インスタ始めたってよ

しかし、うだうだと考えていても、時が流れるだけ……。

私は覚悟を決め、退団してから約1か月後の11月18日、誕生日という記念日も兼ねてインスタグラムを開設することにした。

とはいえ、超絶アナログ人間がデジタルに挑戦するのは困難の連続だった。

友人に手取り足取り教えてもらってなんとかアカウント登録するところまでこぎつけたものの、投稿ボタンを探すの一つ、写真のチョイス一つ、文章の改行の仕方一つ、どれも小一時間は苦戦した。

挙句、文章は伝えようと思っていたメッセージの半分以下のシンプルなものとなり、画像に至っては、これが全世界に拡散されるのか……というこっぱずかしさから、写真ではなく、同期の大澄(おおすみ)れいが描いてくれたイラスト1枚という謎シンプルクオリティで、なんとか投稿した。

初のデジタル移行にすべての神経を持っていかれた私は、投稿したところで満足し、「気づいてくれる人おったらええなあ……」
ぐらいの気持ちで、アプリをそっ閉じした。