●昼神温泉(長野県)の『昼神の御湯』

湯屋権現様という神様が入浴するとされる12月1日からの3カ月間に、同じ湯に入ることで一年の御利益を得られるという。

●熱海温泉(静岡県)の『湯くみ式』、『献湯祭』

熱海温泉の守り神が祀られている湯前(ゆぜん)神社で、毎年2月10日に行われる。大湯間欠泉(おおゆかんけつせん)で汲んだ温泉を柄杓(ひしゃく)で手桶に移す『湯くみ式』と、その温泉を白磁の瓶子(へいし)に移し、湯前神社にお供えする『献湯祭』が行われる。

●下諏訪温泉「綿之湯」(長野県)の『綿之湯の神事』

神の湯として親しまれてきた下諏訪温泉には、諏訪大社御祭神の建御名方神(たけみなかたのかみ)の妃神である八坂刀売神(やさかとめのかみ)が、諏訪大社上社から下社へ渡る際に、上社に湧き出る湯を綿に含んだ湯玉を下社前へ供えるとそこから湯が湧き出したという「湯玉伝説」がある。霊泉をたたえる神事は、諏訪神社下社で1月1日に行われる。これが『綿之湯(わたのゆ)の神事』である。

※本稿は、『秘湯マニアの温泉療法専門医が教える 心と体に効く温泉』(中央新書ラクレ)の一部を再編集したものです。