令和3年に内閣府男女共同参画局が作成したデータによると、令和元年の離婚件数は1960年代と比較して大幅に増加しており、近年では、年間60万件の婚姻件数に対し、離婚件数は21万件とのこと。離婚する人が増える中で、3万8000人以上の夫婦の問題に携わった夫婦問題研究家の岡野あつこさんは、「離婚しないですむのならそれに越したことはない」と言います。今回は、熟年離婚の原因と対策をご紹介します。
家事をお金に換算したら、その価値がみえてくる
定年後の夫と暮らすのに疲れたと熟年離婚を望む妻があとを絶ちません。女性誌などに「夫源病」という言葉がたびたび登場することからも、夫に対してストレスを抱え、悶々としている女性が多いことがわかります。
どこへでもついてくる夫に辟易としているケースもありますが、相談者の訴えは、「傲慢な夫に耐えられません」というのがダントツ。夫に家事の協力を頼んでも、「こうして呑気に暮らせるのは俺が稼いできたおかげなんだぞ」などと返され、妻に定年はないのだと絶望感を抱いて離婚を考えるというのもよくあるケースです。
傲慢な夫の主張の根底には、「家事は無料だ」という発想が横たわっているのです。そこで私は、妻を夫源病から解放し、夫婦修復をするために、夫に家事労働を時給計算して示すことから始めます。
家事労働には、家庭内で行われる掃除、洗濯、料理、アイロンがけ、衣替えなどに加え、食料の買い出しやクリーニング屋などに行くといった外での家事にまつわる仕事も含まれます。