与三郎という役柄は「品」

与三郎の演技は、父親の十三代目片岡仁左衛門さんに教わった。さらに、十一代目市川團十郎さんや、十四代目守田勘彌さん(玉三郎さんの養父)らの映像を見ながら役柄を磨いたという。

歌舞伎の場合、先輩方もおっしゃっていますが、真似から始まります。そこからだんだんと自分のものにしていくのです。与三郎という役柄を掘り下げていくうえで忘れてはならないのが「品」ですね。江戸の大店の息子がアウトローに転落しても「品」を保たなければなりません。

自分が過去に与三郎を演じた時の映像も振り返り、反省点を見つけて改善を重ねています。もちろん、今回もいたしました。具体的にどこと申し上げると、そこばかり見られてしまうので言いません。(笑)

『与話情浮名横櫛』は元々9幕13場という大長編。「木更津海岸見染の場」と「源氏店の場」の組み合せで上演されることが多いが、今回は間に「赤間別荘の場」も上演する。

「木更津海岸見染の場」から「源氏店の場」に飛んでしまうと、初めてご覧になるお客様は別の芝居が始まったと思われるくらい戸惑われると思いますが「赤間別荘の場」を加える事で「源氏店の場」が生きて話も良くおわかりになると思うのです。

歌舞伎は真似から始まり、そこからだんだんと自分のものにしていくのです。と語る仁左衛門さん(写真撮影:本社写真部)