いかに古典を今に伝えるか
鳳凰祭四月大歌舞伎。夜の部『与話情浮名横櫛』後の演目は『連獅子』。尾上松緑さんと長男左近さんが親子の獅子を演じる。昼の部は『新・陰陽師』。作家の夢枕獏さん原作、脚本・演出は市川猿之助さん。江戸の町人を題材にする世話物の名作に、歌舞伎舞踊の代表作、新作歌舞伎が並んだ。
歌舞伎にはいろいろな作品があります。『与話情浮名横櫛』を見て、歌舞伎とはこういうものだと決めつけるのではなく、多彩な歌舞伎の中にこのようなお芝居もあることをわかっていただきたい。『連獅子』は舞踊ですが親子の愛情を描いており、初めての方でも十分理解いただけます。『新・陰陽師』も新作歌舞伎の一面として楽しんでいただけると思います。
歌舞伎をご覧になったことがない方は、「歌舞伎は分からない」「言葉が理解できない」「意味が不明だ」と敬遠されているのだと思います。そのような固定概念を捨て、歌舞伎って案外、分かるんだ、面白いんだということを体験していただきたい。
私はいかに古典を今に伝えていくか、そして、いかにしてその時代を理解していただけるかを追い求めています。
3月14日、79歳の誕生日を迎えた。この日は、ちょうど鳳凰祭四月大歌舞伎のチケット発売日。前日13日に誕生日の過ごし方を聞かれた仁左衛門さん。家族ら親しい人たちと祝えることをうれしそうに明かした。
この歳になって、私自身あと何年元気で舞台に立っていられるかわからないという思いが強くなり、とにかく悔いを残さないように、ひと公演、ひと公演を大事に勤める事を心がけること、また、コロナ禍が早く納まり元通りの平穏な世の中に戻り、それに世界的にも平和な日々が戻るように願っています。