天下布武
合戦というのは、基本的に分からないことが多い。その中でも、この金ケ崎の戦いは、ぼくとって難解なものの一つ。
先ずその一、なぜ越前攻めなのか?
ドラマでも「天下を一統する」と家康らに言っていた通り、信長は「天下布武」を理念として掲げていますが、歴史学者である池上裕子先生たちから、この「天下」は日本全体を指すのではなく、京都とその周辺の政治秩序のことである、という説が提出され、それが有力になっています。
「当時の『天下』は私たちの用い方とは異なり『京都』を指す言葉だった」という史料解釈がその根拠になるのですが、一方で、天皇を「治天下大王」(あめのしたしろしめすおおきみ)と呼んでいたように、「天下を日本全国を指す言葉」として使っている事例も古代から数多く存在する。
ですので、言葉の意味は決め手にはならない。
それから「天下=京都」とするなら、信長にとって何より大事なのは京都を防衛すること、になるはず。ならば、先ずは京都周辺の敵勢力を掃討しませんか?