なぜ浅井は裏切ったのか

疑問の第二。なぜ浅井は裏切ったか?

もともと浅井と朝倉は切っても切れぬ関係にあり、浅井は信長に「朝倉と事を構えるなら必ず事前に相談してくれ」と申し入れていた。けれど信長は何の断りもいれずに朝倉を攻めた。そこで「これは約束違反だ! 浅井の信義が立たぬ」と浅井も同盟を破棄した…と説明されます。

朝倉攻めの途中で浅井長政の裏切りを知り、対応を検討する信長・秀吉・家康(『沢久次郎 編『[絵本]』〔26〕 太閤記姉川大合戦 上,沢久次郎,明17-20. 国立国会図書館デジタルコレクション  (参照 2023-04-03)』)

でもね、おかしいんですよ。いつ浅井が朝倉の世話になったのか? そこが全く分からない。

調べる限り、浅井は朝倉に対し、そんな大層な義理を持つような事情が存在しない。

だから長政が信長の背後を突こうとしたのは、戦国大名の業なのかな、とぼくは考えます。

信長は自分を信じ切って、無防備な背中を晒している。いま攻撃を仕掛ければ、あの信長を討ち取れるかもしれない。

もう一人の自分に耳元でそう囁かれたとき、長政はその誘惑に負けたんじゃないでしょうか。