なぜ越前を攻めたのか

とくに丹波。それこそ「当時の常識」では、京都に攻め入るには丹波が前線基地になる。

だから丹波を支配した細川氏は、本家が丹波守護職を手放さなかったし、丹波平定が喫緊の課題になることは、軍事的視点からは当然のことなのです。

なのになぜ越前?

ドラマ内でも、朝倉義景は足利義昭による京都への上洛要請を断っていましたが、それくらい京都の政治に興味を持っていなかったのに。

この疑問は、池上先生ご本人が仰るように、信長を「侵略マシン」(『織田信長』2012、吉川弘文館)と定義すれば氷解します。

越前は、信長の本領の美濃の隣国です。領地を拡大することが第一義であれば、越前攻めは実に妥当。但し、そうした解釈をするなら、「侵略マシン信長」の最終的な目的は、日本全国の平定になるはずなのです。