松本潤さん演じる徳川家康がいかに戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのかを古沢良太さんの脚本で巧みに描くNHK大河ドラマ『どうする家康』(総合、日曜午後8時ほか)。第13話では、信長(岡田准一さん)の後ろ盾で将軍となった足利義昭(古田新太さん)の命令で上洛した家康。そこで明智光秀(酒向芳さん)や市(北川景子さん)の夫・浅井長政(大貫勇輔さん)らと出会う。やがて義昭に謁見した家康はその振る舞いに戸惑い――といった話が展開しました。
一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるあのシーンをプレイバック、解説するのが本連載。第32回は「謎だらけの朝倉攻め」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!
越前攻めからの浅井の裏切り
前話、ドラマの終盤で織田信長は越前の朝倉攻めを宣言。その宣言を受けてかどうか、信長の義弟・浅井長政が「信長を討つ」と、信長の妹で妻のお市の方に胸中を明かしたところで話は終わりました。
この越前攻めからの浅井の裏切り、というか同盟破棄の顛末は有名なもので、過去の大河ドラマでももう何回も取り上げられていますので、ネタバレには当たりませんでしょう。
そこで次回に含まれそうなことを書きますと、信長は元亀元年(1570年)4月、3万の大軍(ドラマでは4万と説明)を率いて越前に進軍します。
織田軍は朝倉の諸城を次々と攻略していくのですが、そこに浅井離反のニュースが飛び込んできます。挟み撃ちを怖れた信長はただちに撤退を開始、琵琶湖の北岸を通って京都へと引き上げる。
この軍事行動には「金ケ崎の戦い」という名がついています。